昭和61年秋に伊豆箱根鉄道大雄山線を訪れた。
大雄山線は小田原駅で東海道本線の車窓から目にする事はあったが、あまり馴染みのない路線だった。
走っている車両は車体更新された17メートル車が中心で、似たような形態の車両が走っている地味な路線という印象だった。
昭和59年に大雄山線に5000系が新製投入された。
大雄山線に新製車両が配置されるのは開業時以来の事だった。
昭和61年には5000系2次車が追加投入された。
私が訪れたのは大雄山線で活躍していた旧型車の存続が段々と危ぶまれてきた時期だった。
伊豆箱根鉄道大雄山線は大雄山最乗寺への参詣鉄道として敷設された。
歴史は古く、大正14年10月15日、大雄山鉄道が仮小田原~大雄山間が開業した。
開業時から全線が600Vで電化されていた。
昭和10年に現小田原駅まで延伸されて全線9.6kmが開業した。
昭和16年に現在の伊豆箱根鉄道駿豆線にあたる駿豆鉄道が大雄山鉄道を吸収合併した。
昭和32年駿豆鉄道は伊豆箱根鉄道に改称した。
昭和51年に架線電圧が600Vから1500Vに昇圧された。
大雄山線で活躍していた17メートルの旧型車は5000系が投入されると入れ替わりに数を減らしていった。
相模鉄道から来た元2000系の車両が頑張っていたが、平成8年(1996年)10月、モハ165+モハ166+クハ187の編成が引退して大雄山線は新性能化が完了した。
唯一モハ165だけが、平成9年(1997年)2月に事業用としてコデ165に改造されて現存している。